石仏群を後にして、再び自然歩道を行く。
相変わらずの山襞に沿ったアップダウンの連続、道も荒れていて体力をものすごく消耗させられる。
ようやく白鳥神社に着いた…と思ったら、これは「上方桜井神社」であった。私が目指している名水「桜の井」があるのは桜井白鳥神社なのだ。
上方白鳥神社は立ち寄ることなく通過して、桜井白鳥神社に着いたのは10時45分、休憩用のベンチがあったので、休憩することにした。
この神社の境内には桜の香りがするという名水「桜の井」がある。この水を汲んで飲んだ。うまかった。
神社境内には霊池もある。大干魃のときはこの池の水を汲み干して雨乞いをすれば、必ず三日以内に雨が降るという。すごい霊験ではないか。
神社の名前に「白鳥」が使われている。記紀によると、ヤマトタケルは伊吹山で亡くなるのだが、そのあと白鳥になって飛び去ったという。そのことから白鳥はヤマトタケルを表すのである。この神社もやはりヤマトタケルを奉っているのだ。
この神社を出発したのは11時である。
ここからは再びアップダウンを繰り返しながら山麓を歩き、沢田という集落から本格的に山に入って尾根を越す。この尾根を越して平坦な道にでると、ようやく養老山地の山麓歩きから開放される。
大きな川が流れていて、その川の向こうには名神高速の高架が見えた。そして、自然歩道はすさまじく車の通行量の多い国道にぶつかる。なんか人里に降りて来たという感じである。
この国道の脇にバス停があったので、待合所の中で休憩した。ちょうど12時になっていた。
これからは、今までのようなひどいアップダウンから開放されるのである。うれしい。
バス停から牧田川にかかる橋、広瀬橋までの間は歩道部分がなくて、通行量の多い車に注意しながら歩かなければいけない。道はそんなに広くないのにトラックやダンプががんがん走ってくる。恐くなってしまう。
橋を渡ったところで、指導標に従って左に曲がり、牧田川の土手に出る。
ここからは川の土手を行くのだ。道の両脇には桜の木がびっしりと並んでいて、春ははさぞやきれいだろうと思う。この土手の道には新しい歌碑がいくつもたっていた。
のんびり歩いて行くと、枚田川に今須川が合流してくる。自然歩道は今須川に沿った道を行くようになった。この区間は道も平坦で、のどかな田園風景を眺める川沿いの道で、本当に心が休まる道である。
川沿いの道から直角に左に曲がって橋を渡る。ここから山に向かって入って行くのだ。しかしアスファルトの道である。これを延々と歩いて行く。
嫌になった頃に平井の集落に入った。時間は14時少し前になっていた。自然歩道の指導標は、私のガイドブックと違ったコースを指していた。ガイドでは車道をそのまま歩いて行くのだが、指導標の道は平井の集落に入って、それを抜けて田んぼの中を行く。曲がりくねった車道をショートカットする道なので、こちらを行く。
車道に合流してしばらく行くと再び集落がある。正面にお寺の大きな瓦屋根が見える。実はこの集落も平井というのだ。同じ名の集落が二つ並んでいるのである。
平井の集落に入るとすぐに右に曲がって民家のあいだの細い道を行く。民家を抜けると、山に登って行く林道に出た。これが松尾山登山道である。
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