貝弁川を渡ったところにたつ指導標はあやふやな方向をさしていた。どっちに行ったらいいのかわからない。私がもっている2万5000分の1の地図に従って右の田んぼの中の道を行ったらそれは行き止まりだった。仕方がなく橋のたもとに引き返して、左の道を行く。
ガイドブックにある山田工業という会社の工場を左に見て、車道に出た。あとはこの車道を行くだけである。途中Y字路があるはずなのだが、完全に左に曲がる道であった。このあたり少しわかりにくい。指導標もなんかたよりにならない。
磁石で方向を確認して、車道を歩いて行く。ガイドブックに「樹彩の泉」という水場らしきものが記載されているので、ここで水を補給するつもりでいたが、そんなものはなかった。
車道を行くのだが、自然歩道のコースらしく、ちゃんと歩道がつけられている。これを延々と歩いて行く。アスファルトの道を歩くのは本当に疲れる。
車道を離れて左に入る道がある。指導標に従ってこの道に入る。ここは車の進入禁止になっているのだ。かなり幅のある道で、舗装もされている。しかし、両脇には草が茫茫と生えていて荒れた感じがする。車の乗り入れを禁止しているのは、ゴミの不当投棄を防ぐためらしい。
この樹林の中を行く道をぬけると長尾の集落に着く。
この集落に入ると自然歩道のコースがわからなくなった。おかしいと思って引き返したら、Y字路があって、この道を左に行くのだった。よくみたら、指導標もあった。私は地図から直角に曲がると思っていたので、見逃したのである。
このY字路で少し休憩。時間は9時になったところであった。霧雨のような細かい雨が降ってきた。
広い車道を渡って、田んぼの中の道に下る。ここからはあぜ道を行くのだ。何かしら、ものすごく遠回りしているような気がした。
広い道に出ると、すぐに車道歩きになる。この道を行くと山の方向に向かう田んぼの中の道に入る。歩いて行ったら行き止まりになってしまった。引き返すと、一段下る道があって、これがわかりにくい。そしてその突き当たりは門が閉まっている。げっ、通れないのかと思った。でもこの門は開けることができるのだった。そこからは小川に沿った道を行く。
小川を離れて登りの道を行く、門の閉まってるところに出る。ここで広い道に出て、左に行く。この道は中部電力の変電所前を通って行くのだ。変電所の前を通過したのは10時を少し過ぎた頃であった。
広い車道と合流する。自然歩道はこの車道に沿った右の細い道を行くのだ。こうして川原の集落に着く。
歩いて行くとバス停があって、小学校前である。ここにトイレがあって、郵便局もあった。この前で休憩。さっきまで小雨模様だったのに、今はきれいに晴れていた。
11時にここを出発。
これからが「川原越」という大変な道なのだ。今、私がいるのは三重県なのだが、東に養老山地が連なっている。この山稜を越えると、その先は岐阜県になるのだ。この峠越えはいくつかあるのだが、その一つがこれから登って行く「川原越え」である。
川原の集落から曲がりくねった車道を田切川に向かって下って行く。川を渡ったところに指導標があって、右が自然歩道だが、左に東林寺とある。ここには「白滝」という滝がある。この滝は養老の滝に対して「裏養老の滝」とも言われる名滝らしいのだ。滝の好きな自分としては立ち寄らざるをえないではないか。
東林寺の境内に入って行く。森閑とした林の中に滝があった。一直線に流れ落ちる立派な滝である。
これを撮影して分岐に戻った。車道を行くが、すぐに左に入る道があった。登山口には杖がいくつも置かれていて、厳しい登山道になることがわかる。
ガイドブックにある石畳の道になった。石畳とはいってもかなり荒れた感じの石の階段である。深い樹林の中の山道を登って行く。林道に合流するはずなのだが、なかなかそこに着かない。この間は本当に長く感じた。
林道と合流し、少し行くと休憩施設があった。この東屋で休憩した。時間は13時少し前になっていた。
私の持っているガイドブックは本当にひどい間違いだらけの本で、たとえば高度表が載っていて、今回のコースの最高点は川原峠となっているが、これは間違っている。私が今休憩しているところが最高地点なのだ。ここからはこの下に通じている登奈井尾林道に下って行くのである。
山道をジグザグに下って林道に出ると、その林道を峠に向かって緩やかに登る。途中から林道を離れて、右の山道に入る。樹林の中を緩やかに登って、ようやく川原越に着いた。やったぁという感じであった。
ここには県境の標識が立っている。私の東海自然歩道歩きも、ようやく岐阜県に入ったのである。感激もひとしおである。
この峠には養老山に登って行く登山道が分岐している。登山路を行ってしまおうかとも思ったが、地図を持っていないので断念した。
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