峠からは下りなので気は楽である。どんどん下って行く。700mほど下ると、道の左に苔むした墓石が並んでいた。
…と思ったら、すぐに樹林から抜け出して民家が見えてきて、民家の横を過ぎると車道に出た。その角にはお地蔵様と指導標がたっていて、32番まで0.5kmと書いてある。私は車道に出たらすぐ札所だと思っていたので、まだ500mも歩くのかとがっかりしてしまった。
舗装道を下って行く。右手に諏訪神社の鳥居があって、そこから100mほど行くと札所の前であった。ここにはバス停やトイレがあって、ハイキングコースのイラストマップもたっていた。その地図を確認していたら、近所のあばさんが通りかかって、札所は留守だから納経はできないという。札所のお寺が留守にしてしまうことなんかあるのかとびっくりしてしまう。巡礼が途絶えることはない思うのに、そんなことが許されるのかと思ってしまう。ともかくお参りだけはすることにした。
それにしても、りっぱな楼門である。門の両脇には赤い仁王様がたっているので、これは仁王門である。中の仁王様はりっぱな造りであった。
急な石段を上ると納経所がある。本当に留守なのかと思ったら、受付にはたくさん物が並べられている。
そこには朱印を押した納経帳のこの寺のページが何部かおいてあって、「しばらく留守にするので、これをもっていって欲しい」と書き置きがあった。よかった。檀家の誰かが、毎日これを出してくれているようである。
これで納経もできたので、安心してお参りをする。納経所の隣に本堂があるのだが、納札や読経するのは観音堂である。境内を奥に進むと、急な石段の上にりっぱな御堂が見えた。これが観音堂である。
石段の途中には毘沙門堂があった。さらに急な石段を上ると、すごい巨岩が二つ重なってその間にトンネルがある。ここが奥の院の入口らしい。
この前を右に石段を上って観音堂に着く。観音堂には靴を脱いで上がって、正面に立って読経した。観音堂の後ろは岩窟で、たくさんの石仏が置かれていた。
観音堂から石段を下って本堂の前に戻った。ザックと金剛杖はここに置いて登ったのだ。
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