峠には古い石柱があって、「札所三十四番ニ至ル」とも刻まれていた。
峠から下って行く。どんどん下って行くと、沢に沿った道になって、岩がゴツゴツするようになった。すごく歩きにくい。沢を縫うように何度も渡って下って行く。沢にかかる橋には新しいものもあるので、道は最近も整備されているようである。
峠から20分ほど、走るように下り続けた。道端に左手を横に伸ばした、変わった形のお地蔵様がたっていた。その袖に字が書いてある。「おつかれさま 水潜寺はすぐそこ」と書いてあった。このお地蔵様は指導標なのだ。
すぐに御堂が見えてきて、岩壁が見えてきて、そこにたくさんの石仏が見えた。その奥に御堂が見える。やっと秩父巡礼の最後の札所に着いたのだ。
観音さま三十三に変化すると言われ、観音霊場は三十三箇所というのが普通である。西国三十三カ所、板東三十三カ所があって、これを秩父三十三を足すと九十九になってしまうので、秩父は34にして百になるようにしたのだ。すごいご都合主義のようなきがするのだが、ともかくその百観音の結願の寺が水潜寺なのだ。
さすがに大きなお寺で、結願の奉納額が並んでいる。
本堂の前で読経を終えて納経所に行った。誰もいなくて鈴を鳴らしたが、それでも人が出てこない。留守なのかと思ったら、しばらくして、すごい年をとった住職が出てきた。この人、ちゃんと字が書けるのかと疑ってしまったが、すごく達筆であった。
これで、秩父巡礼は終了である。時間はまだ15時前、バスは15時34分なので境内をゆっくりと散策することにした。
「みずくぐりの長命水」があった。岩壁にあいた岩屋から長く竹筒がひかれて、ここで水が流れ出ている。この水がお寺の名前の由来なのだという。長命の水というので、私も飲んでみた。これで長生きできるのだろうか。境内には百観音結願堂があった。私はまだ34しか終えていないのだが、一応秩父の巡礼を終わったので、この前でお礼の読経をした。
さて、それでも時間が余った。
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