8時15分、桃林寺を出発。すぐに道が分からなくなってしまった。境内の近くをうろうろしたがわからない。
よく見たら、目指す方向とはまったく違う山に向かう道がある。まさか…と思いながら少し行くと道標があって、これが自然歩道ということがわかった。
山襞にそった樹林の中の道を行く。
樹林から抜けると川の流れがあって、この川に沿って北上して行く。地図と照合すると椿大神社は近い。
お土産屋さんがあって、そこが椿大神社の入り口であった。
杉の大木が並ぶ参道を行く。左に猿田彦の石像があった。椿大神社は猿田彦神社の総社なのだそうだ。
正面突き当たりの本殿にお参りをしてすぐに引き返したが、林の中に赤い社殿を見つけた。行ってみたら天之鈿女命(あめのうずめのみこと)を祀る「別宮椿岸神社」であった。天之鈿女命といったら、天照大神が天の岩戸に隠れたとき、岩戸の前でストリップまがいの踊りをした女神である。知らなかったのだが、天之鈿女命は猿田彦の妻であった。
参道をさらに引き返して行くと、柵で囲われ、注連縄が張られた神域があった。「御船磐座」で、天孫瓊々杵尊(ににぎのみこと)が高天の原から天下ったとき、御船はここに繋がれて、それから九州に先導されたのだそうだ。すごい、この神社は神話の世界そのものではないか。
感動して神社を後にした。
鳥居をくぐって外に出る。自然歩道の指導標の方向が微妙でどっちの道を行ったらいいのかわからない。とりあえず歩いていったが、方向が少し違うので引き返した。
人家の中の道を行くと、すぐに左に入る道があった。ここから再び山の中に入って行く。
樹林の中、山襞に沿ってくねくねと曲がり、小さなアップダウンを繰り返して歩いて行く。40分ほど行くと林から抜け出して、用水池のほとりに出た。そして少し行っくと川の流れに突き当たった。内部川で、自然歩道はこの川の流れに沿って下って行く。
しばらく行くと、指導標が川の方向を指していた。これはなんだと思ってしまう。別に橋があるわけでもなくて、まさかこれを徒渉しろというのではないだろうな…と思ったのだが、対岸になにかしら指導標らしきものが見える。
渡ることにした。
川の流れはちょうど水量が少なくて、浅瀬になっている。
なんとか渡れそうである。靴を脱ぐことなく渡ることができた。
川に沿って少しだけ溯って右の道に入る。ここから畑の中を行くが、すぐに樹林の中の、谷に沿った道になった。
今、宮妻渓谷を目指している。この流れもその渓谷の一部なんだろうかと思ってしまう。
ようやく林から抜け出すと、そこが「もみじ谷」の入り口であった。時間は10時15分になっていた。
ここで少し休憩。
もみじ谷はまだ紅葉が始まっていないため、たんなる谷筋の道で面白くはなかった。
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