忍野八海から富士山を見たかったのだがそれはできなかった。
でも、大平山から見る山中湖と富士山はすばらしくきれいだった。

山中湖と富士山


BACK 御坂山塊黒岳


今日は金時山に登るつもりである。しかし、この山は
4時間もあれば登って帰ってこれるのだ。これではもったいないので、なんか付け加えることにする。
近くでいい山がないか調べたが、ちょっと登ってみたい山はない。
しかし、地図をみていたら東海自然歩道がこのあたりを通っているのがわかった。
そこで、4時間くらいで歩ける「忍野〜平野」のコースを歩いてみることにした。
忍野というと富士山が一番すばらしく見えるところなのだそうだ。よく茅葺の家と水車を前景にした富士山の写真がある。これが忍野八海から見る富士山である。
八海とは何かというと、海というのは富士の湧き水のことなのだそうだ。
富士山に降った雨が地下にしみ込み、これが80年くらいかけて湧き水としてこのあたりに現れてくる。
その湧き水の池を海というのであって、これが八つあるのだそうだ。これらはすべて一般の農家の庭先に湧いているのだ。富士湧水の池を前景にした富士山、これが忍野富士なのだ。
これを見てみたくなった。
東海自然歩道は忍野八海から山中湖まで通じている。
午前中にこの東海自然歩道を歩いて、午後に金時山を登ることにした.



2002年1月13日


道の駅では車の中で夜を明かした人がけっこう多い。
朝、富士山がほんのりと赤く染まる。
これを眺めて「なるせ道の駅」を7時少し過ぎに出発した。
忍野八海をめざす。
ところが、途中で富士吉田の神社の前を通った。この神社は吉田の火祭りで有名である。国道に面して鳥居が立っていて、そこから深い杉木立の参道が続いている。いかにも由緒ありそうな神社である。武田信玄もここで祈願したのだそうだ。
せっかくなのでお参りしていくことにした。
長い参道を歩いて行く。かなりの樹齢と思われる杉並木が続く。そして参道の両脇には石灯籠が並んでいた。これも古そうである。
参道の尽きるところに赤い山門が立っている。これを潜るとすぐに神楽殿と思われる建物があって、その向こうに本殿が建っていた。
両脇には古い大きな杉の木が立っていて、こんなたたずまいを見ているとなにかしら厳粛な気持ちにさせられる。
神社には杜(もり)がつきものである。
村の鎮守の神様と言ったりするが、そこには必ず「鎮守の杜」があるのだ。
わたしはこの「杜」こそ日本神道の一つの形ではないかと思ったりしているのだが。
この吉田神社にも大きな杉の木があって、これにはしめ縄が張られ、御神木として崇められている。
杜には何かしら神が宿るような気がしてしまうのだが。

吉田神社をあとに忍野八海をめざす。


東海自然歩道の入り口はすぐにわかった。指導標が立っていたのだ。
さっそくザックを背負って出発。
近くのバス停で帰りのための時間を調べたが、よくわからなかった。
指導標に従って、林の中の道に入る。ところが10分ほど歩いたところで道を失った。
東海自然歩道のガイドブックを持ってきているのだが、発行日は昭和49年である。今から30年ほど前のものである。
この当時、私は東海自然歩道の全コースを歩こうという決心をしていて、そのために全4巻のガイドブックを買ったのだ。
大阪近郊の第1巻は使ったものの、他の3巻はずうっと埃をかぶっていたのだ。それを今回持って来たのだが、これがほとんど役に立たなかった。
この30年の間に宅地開発は行われるわ、新しい道路はどんどんできるわで、このガイドブックに書かれている情景とはまったく変わってしまっている。
おまけに東海自然歩道のコース自体が付け替えられているような気もするのだ。
そんなわけで、ガイドブックはまったく役に立たなかった。
頼りは指導標と自分のカンだけである。
まず、最初に道を失ったときは、通り掛かりの人に訊いてなんとか道がわかった。
忍野の集落に出る。指導標に従って歩いていったら有名な「忍野八海」を通るだろうと思っていたのだが、そうではなかった。自然歩道はそんな観光地には目もくれず、ひたすら田園風景の中を進んでいる。
指導標がいつのまにか「中山湖」になってしまって、戻る方向に「忍野八海」となっている。要は通り過ぎてしまったということである。
引き返そうかとも思ったが、止めた。

田園風景の中で富士山の写真を撮っていたら、車が止まった。なんと、会社の同僚であった。家族でこのあたりにドライブに来たらしい。日本は狭い。
針葉樹林の中の道をいく。
途中でまた道が分からなくなった。
東海自然歩道の指導標ではなく、山梨県の指導標が立っている。大平山をさしているのでこれに従って進むことにした。
心配だったが、それで合っていた。
道は別荘地の中の細い道になる。本当に分かりにくい。
これを通過すると、ひたすらまっすぐに急登する木の階段が現れ、大平山に向かって登って行く。稜線に出ると、富士山が山中湖の向こうに聳えていた。
すばらしい景観である。
この稜線分岐から少しいくと長池山山頂である。
富士山が絶景である。
下には山中湖、そしてその向こうに長い裾野を引いた富士山。天気はよくてすばらしい眺めである。
ここで、休憩しながら軽く食事をした。目の前には絶景の富士山。何もいうことはない。
一旦下って大平山を目指す。
大平山山頂には5人ほどの中高年ハイカーがいた。
大平山からの富士山もすばらしい。
写真だけ撮ってすぐに出発。
だんだん時間が気になってきた。
今日はこのあと、金時山に登るつもりである。乙女峠から登るのが一番短時間ですむのだが、それでも往復3時間はかかる。そうすると、どんなに遅くても2時には登山を始めなければいけない計算になる。今はもう11時半になってしまった。ヤバイ。
大平山からは二つのピークを越えなければいけない。
まず大窪山、一旦下って登り返す。必死で登った。時間だけが気になる。
その次が平尾山である。カヤトの山で広い山頂である。ハイカーがたくさん休憩していた。
ここからの富士山も素敵だ。富士山の頭の上に笠雲がかかっていた。天気が崩れるんだろうか。
平尾山から下るとすぐに平野への分岐があった。
あとはこの道をひたすら駆け降りる。
ようやく舗装道路に出ると、その道をバスが走っていく。
平野のバス停に着いたのは1210分であった。
バス停で時間を確認すると、なんと1344分まで次のバスはない。
ここのバス停には観光案内所が隣接してあったので、そこのおばさんに忍野口まで一番早いバスの時間を訊くと、やはり1344分までないのだそうだ。これでは今日、金時山に登れなくなってしまう。
しかたがないのでタクシーを使うことにした。忍野口までどれくらいで行けるか訊いたら、3000円くらいだという。
それくらいならいいいか、とタクシーに乗り込んだ。
忍野口というのはいろいろあって、自衛隊入り口があったのでそこで降ろしてもらった。料金は3400円だった。
東海自然歩道のガイドブックでは、今日歩き始めたところより前に自衛隊の基地があると書いてある。
これは乗り越したのではないかと、500mほど戻った。でも、それは違っていて、さらに先だったのだ。
車の前に帰ってきたのは13時であった。
急いで発進。


NEXT 金時山


道の駅の朝


富士吉田神社





東海自然歩道忍野コース案内板


樹林の道を行く


富士山が見える


ハリモミ純林の中を行く


階段の道を登っていく


稜線に出た


大平山山頂から富士山


平尾山へ登っていく


平尾山山頂


平尾山山頂から富士山


平野に下る分岐


平野の東海自然歩道入り口





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2002/3/21 BY:kudougao
















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