道は天満宮に突き当たった。この神社のおかげで地図の上で自分がどこにいるのかわかった。つきあたりを右に行って、アスファルトの道に合流する。これが自然歩道である。
川の流れに沿って歩いて行く。この川は湖南アルプスから流れてきていて、天神川という。
しばらく行くと、この川の両岸は自然公園としてきれいに整備されていた。川原には遊歩道が巡らされていて、流れも石組みされている。向こう岸にはバーベキューハウスのようなものが見える。
この整備された道を行くと、橋を渡る。そこがアルプス登山口で、バス停があった。
行く手の山はそんなに高い山ではないのだが、山腹は岩塊に覆われているのが見えた。
けっこう険しそうである。
道はどんどん山の中に入っていく。谷あいの道で両側は山が切り立っている。険しい岩山の連なりで、だからこそ「アルプス」という名がつけられているのだろうと思う。
どんどん歩いて行くのだが、どこまでも舗装された林道が続き、いっこうに山道にならない。
昔、初めてこの道を歩いたときの記憶では、すさまじいばかりの岩山だったのだが…。もしかしたら、コースが変更されているのではないかと思ってしまう。
私が自然歩道を歩いたのは30年ほど前のことなので、今歩いてみると、コースが変わっていることが少なくないのだ。
途中、矢筈山への分岐があったが、自然歩道は相変わらず舗装の道を行くのだ。
矢筈山分岐の前で悩んでしまった。今日、このコースを歩く楽しみは、湖南アルプスを縦走することだったのだ。このまま林道の道で不動寺まで行くことになったら、がっかりである。矢筈山に登って行こうかと、二万五千分の一の地図を確認したのだが、登山道の記載は詳しくない。残念だが、山はあきらめて、指導標の通り自然歩道をたどることにした。
歩いて行くと右に東屋のような建物があり、これが「迎え不動」であった。その屋根の下に不動明王の石仏が安置されている。私が通ったとき、その前で一生懸命お経をあげているおばさんがいた。
あいかわらず舗装された車道を行く。
迎え不動を過ぎるとすぐに鎧ダムに向かう分岐があったが、私はさらに直進する。
林道が左の山に向かって大きなカーブを描いて上っていくあたりで、ようやく分岐があった。自然歩道らしい山道で、この道に入るとすぐに小さな橋を渡った。
自然歩道のために架けたと思われる「不動橋」である。
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