姫次は東海自然歩道全コースの中で
最も標高が高い所である

 


BACK 丹沢山

東海自然歩道の名をきくと心が騒いでしまう。
昔、20歳の頃だが、大阪に住んでいたときに東海自然歩道を歩いていた。名古屋の西にある青山高原から大阪の箕面までのコースを2年がかりで歩いたのだ。箕面に着いたときに、いつか必ず東海自然歩道の全コースを歩こうと心に決めた。だが、それは今も果たせずにいる。
しかし、私はそれを今でもあきらめてはいない。30年たった今も、いつか…と思っているのだ。
だから、東海自然歩道ときくと心がざわめく。

丹沢蛭ヶ岳からの下山路として歩いた姫次から焼山に至る縦走路は東海自然歩道のコースである。
東海自然歩道は東京の高尾を始点に大阪の箕面まで続く、全長1342kmの長大なハイキングコースである。私は松本に転勤になったとき、高尾から松本まで歩いて赴任したことがある。そのとき東海自然歩道の東の基点高尾〜相模湖間を歩いたのだ。
今回の登山の「東丹沢主脈縦走」は焼山登山口がある「長野」という集落で終わるのだが、ついでなのでさらに東海自然歩道を歩いて、相模湖まで行ってみようと思っている。


2001年12月3日

姫次を出たのは8時15分。まず目指すのは黍殻山。
その手前に、昨日泊まろうと思っていた避難小屋がある。
下りの道なので、距離のわりには短時間で避難小屋に着いてしまった。
避難小屋は登山道から少し下ったところにある。
キャンプサイトのような広い草原があった。
小屋の中をのぞいたがきれいなところで、昨日停まれれば…と思った。
登山道を少し行くと黍殻山の指導標があった。
せっかくなので山頂を踏んでおくことにした。自然歩道から別れて急な道を登ると稜線に出て、その稜線をさらに急登する。
山頂には金網の塀で囲まれた得体のしれない建物がでんと建っていた。なんなのだこれは…と思ってしまう。
その周りの木の一つに黍殻山とかかれた小さなトタン板が打ちつけられていた。
山頂から下って再び自然歩道と合流し、1時間ほど歩くと焼山に着く。
焼山山頂の真ん中には電波塔のような鉄塔が立っていた。
よくみるとそれは展望台であった。
せっかくなので登ってみた。螺旋階段を登って行く。
展望台からは津久井湖が見えた。周りの山は紅葉で赤く染まっていて、すばらしい展望であった。でも、山頂にこんなのを建てるか…と思ってしまう。
焼山から1時間30分、走るように歩いて西野々に着いた。本当は長野の集落に行くつもりだったが、東海自然歩道は西野々を通っているのだ。
西野々の集落から少し国道を行くと、道志川に下る道がある。道志川に架かる橋を渡って、登り返すと左に東海自然歩道の案内があって、本当に細い道に入る。
まず目指すのは「石砂山」である。深い林の中を登って行って、石砂山と572mピークの間の鞍部に出る。そこから急な道を登ると石砂山の山頂であった。
ここでしばらく休憩。困ったことに水がなくなってきた。
朝、テントを撤収するときに水汲みに行くべきだったと悔やむ。
ここからは下り1時間足らずで篠原の集落に着いた。
ここで水を補給したかったが、水場がない。
東海自然歩道のトイレがあったが、そこの水は「飲料不可」と書いてあった。
しかたがないので、自販機で烏龍茶を買って持って行くことにした。
舗装の道を行くが、段々畑の上にぽつんと指導標が立っている。
ここから細い道に入るが、これが道かと思うような「あぜ道」で、ちょっと心配になってしまった。
40分ほど登って行くと、山頂らしきところに着く。これが石老山かと思ったらそうではなくて、地図に金毘羅神社と記載のあるピークであった。さらに30分登ってようやく石老山の山頂に着いた。
この山頂は三方を林に囲まれていて、ピークらしからぬ山頂であった。
でも正面に丹沢山塊が聳えているのが見えて、あれを登ってきたんだという満足感に浸れる。よく見ると、霞んではいるが、蛭ヶ岳の横に富士山が見えた。
うれしくなる。
ここから道は2つに分かれる。融合平経由で石老山登山口に出る道と大明神経由でピクニックランド前に出る道である。
大明神には展望台があるようなので、こちらの道を行くことにした。
いったん道を戻って、急な道を下る。
30分行くとピークに出て、そこから少し行くと鉄柵に囲まれた展望台があった。
ここからは相模湖が展望できる。
ピクニックランド前のバス停に着いたのは4時頃であった。相模湖行きのバスは410分がある。このバスに乗って相模湖駅まで行ってしまおうかと思ったが、せっかくここまで来たのだから最後まで歩くことにした。
以前、と言っても20年も前のことだが、松本に転勤になったときに高尾から松本まで甲州街道を歩いて赴任したことがある。そのとき東海自然歩道の最初の区間、高尾〜相模湖は歩いているのだ。今回相模湖駅まで歩いたら高尾〜姫次の区間を踏破できたことになる。
歩くことにした。
ただ心配なのは時間である。もう4時を過ぎている。今の時期は5時で暗くなってしまうのだ。明るいうちに山道を通過できるかどうかが問題だ。
地図で時間を確認すると、鼠坂(ねんざか)から嵐山を経由して相模川の一般道に出るまの所要時間は1時間20分である。
途中で日が暮れることになりそうだ。それでも行くことにする。
ピクニックランドから車道を少し行くと、山に向かって入る道がある。ここが鼠坂である。
道はしだいに山道に変わっていき、室房山の山麓を大きく回り込むように続いている。
林の中を行く。
30分ほど行くと分岐があって、ここから急な登りになる。
尾房山と嵐山の鞍部に出て、ここから稜線を行く。嵐山には電波塔が立っているのが見えた。
嵐山山頂には立派な神社の社殿があった。
時間は5時。暗くなってきた。
嵐山山頂から相模湖町が見下ろせて、街の明かりがきれいだった。そして中央自動車道を走る車の赤いテールランプの連なりが、ひどく鮮やかに見えた。ようはそれほど暗くなっているということだ。
ともかく急いで下る。
走るようにして下って行く。ジグザグの道である。
ショートカットしながら下っていたら、一度道を間違えて、行き止まりになってしまった。この頃になるとほとんど真っ暗。
懐中電灯を準備する。
樹林の中に入ると真っ暗で道が見えない。
嵐山の登山口に降りてきたのは5時半であった。街路灯の灯りがまぶしく感じた。
なんとか無事降りてこれた。
あとは町の中を歩いて相模湖駅に行くだけである。
最後に無理をしてしまったが、丹沢主脈縦走ができて、おまけに東海自然歩道まで歩けてしまった。充実した2日間だったと思う。


BACK 東京・神奈川の道

8:05 姫次から富士山


8:37 避難小屋


9:05 黍殻山山頂


こんな道をのんびり行く


焼山山頂


展望台から津久井湖が見えた


10:42 西野々の自然歩道入り口


11:04 道志川を渡る


12:02 石砂山山頂


篠原の集落を過ぎる



14:15 石老山山頂


15:00 大明神展望台から相模湖


16:11 嵐山へは竹林の中を行く


16:38 嵐山山頂から相模湖


やっと相模湖駅に着いた






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