東海自然歩道 奈良の道


近鉄長谷寺駅→長谷寺→初瀬ダム→高束城跡→鳥見山公園→青龍寺→十八神社→山部赤人の墓→戒長寺→室生湖→室生ダム→近鉄室生口大野駅

新緑が輝く季節である。
こんなときにのんびりウォーキングするのは本当に心が洗われるようである



長谷寺の牡丹

 長谷寺参拝
近鉄長谷寺駅


駅から急な石段を下る


古い家並みが残っている


長谷寺に着いた


長谷寺の回廊


本堂の舞台へ向かう

BACK 天理から長谷寺へ

2003428

今日は東海自然歩道を歩こうと思っている。
天気予報では完璧に晴れるはずが、空にはどんよりとした厚い雲がかかっていた。本当に晴れてくれるのか心配である。
家を出たのは6時半頃。西向日から阪急線を1区間だけ乗って、東向日で降りる。歩いてJRの向日町駅に行き、ここからJRで京都へ。京都で近鉄に乗り換えて、樫原神宮行きの急行に乗った。八木で乗り換えて、長谷寺駅に着いたのは8時半である。
駅からは急な石段の道を下る。両脇にはお土産屋さんが並んでいるのだが、朝早いせいかほとんどの店は閉まっていた。
石段を下りきったところは国道で、車がどんどん通っている。これを横断する。
そうすると本当に昔ながらの佇まいの家並みが続いていて、いかにも門前街の風情である。突き当たったところを左折するとお土産屋さんが並ぶ参道になった。
突き当たりには山門が見え、その上の山腹には堂塔が立っている。
朝早いはずなのに、ずいぶん人が多かった。
長谷寺といったら牡丹の花で有名なのだが、今がちょうどその季節なのだ。
私は朝早く来てラッキーだったようで、日中だったら大混雑に巻き込まれたに間違いない。
せっかくなので拝観して行くことにした。
石段を登って行くと本堂があって、その横から、有名な登り回廊が上に向かって続いている。この回廊の両脇には牡丹の花が咲き誇っていた。
牡丹の花というのはずいぶん派手な花で、花自体が大きいし、色もけばけばしい。あまり好きではないのだが、こうして見ると、すごくきれいだ。
回廊を登り切ったところに懸崖造りの本堂があった。清水の舞台のようなものである。
この本堂には本尊として観音菩薩が祀られている。長谷寺の観音様といったら平安時代から有名で、いろんな文学に登場するのだ。
正面に行ってお参りして、この観音様をみると、…大きい。
大仏並みの大きさに感じた。この観音の珍しさは右手に錫杖を持っていることである。菩薩像で錫杖を持つのは地蔵尊くらいのものなのだが…。
舞台に出ると、ここから下界が見渡せる。向かいの山の林に五重塔が見えた。
本堂から五重塔に向かう。気持ちのよい新緑の道である。
歩いて行くと所々にお坊さんが立っていて、案内をしている。何かと思ったら、お堂で偉いお坊さんが説教をしているのだ。時間があったら聴いて行きたいのだが、私はこれから20km以上の道を歩かなければいけない…。
五重塔の前に出る。意外と小さな塔で、室生寺の五重塔みたいである。
ここからはぐるりと山襞にそって歩いて行き、最初の道に戻って来た。


 

 高塚山登山
初瀬ダム


高○神社に着いた


何もない山頂


高束城跡の馬乗石

長谷寺の前の車道を、左、山に向かって歩いて行く。
小川に沿った道で、緩やかな登りが続く。30分ほど歩くと行く手に大きなダムが見えてきた。初瀬ダムである。
道は大きくカーブしながら、ダムに向かって登って行く。民家の間の細い道に入ると、突き当たったところがダム湖のほとりであった。

ダム湖の水は少なかった。このダム湖には「まほろば湖」という名がつけられている。
空はすっかり晴れて、日がサンサンと照っている。暑いくらいの陽気になった。
ダム湖に沿って遊歩道のような道を行くと、再び車道に合流して、口ノ倉の集落に着く。
このあたりから山道に入った。急な道を登って行くと、高○神社(○の字は読めなかった)に着く。さらに登ると、人家の間の道に出て、この道を少し進むと再び山道になった。ようやく自然歩道らしくなってきた。
林の中の道を登って、高束城跡に着く。この間、かなり長く感じた。
ここでは、5人ほどのハイカーが休憩していた。城跡というので石垣が残っているのかと思ったが、案内板が立っているだけである。
ともかく、ここで休憩。
コンビニで買った弁当を食べて、ポットのお湯でコーヒーを入れた。
熱いコーヒーを飲んでほっと一息つく。
さて、出発する前に高束城跡を見て行こうと思う。案内板には山の上に馬乗石とか礎石があると書かれているので、それを見ておこうと思うのだ。
それに、そこが高塚山山頂でもある、ヤマヤというのは一つでも多くの山頂を踏みたいという、どうしようもないサガがある。
上に向かう細い道を辿る。道は荒れていて、ところどころ薮になっている。これを掻き分けて登って行くと馬乗石と思われる大きな岩があった。
こあたりが山頂のようで、道は平らになる。すぐ近くに礎石と思われる石が1個あった。それ以外に見当たらない。1個しかないのに、本当にこれが礎石なんだろうかと思ってしまった。さらに進んでみたが、道は消えてしまった。
あきらめて引き返した。



 鳥見山公園から赤人の墓へ
鳥見山公園


鳥見山公園の展望台から金剛山


青龍寺山門


林道を行く


十八神社


山部赤人の墓

ザックを回収して、林の中の道を行く。
初めは急な下りだったが、道はすぐに平らになって、さらに進むと人家の横に出た。
ここから舗装された道を行く。どんどん行くと、道の両脇に幟が立つようになった。これは鳥見山公園観光の幟なのである。
この「鳥見」というのは日本神話に由来する。神武天皇がこの大和の地に進攻して、先住民であるナガスネヒコと最後に戦ったのがこの「鳥見」である。このとき金の鳶が神武天皇の弓に止まり、その金色の輝きに眼をくらまされてナガスネヒコは敗退したのだ。
さて、車道の突き当たりが駐車場で、ここが鳥見山公園であった。
ここで自然歩道の道を失った。
ともかく公園の中に入って行くと、真ん中に大きな池がある。勾玉池である。その畔に鳥見社という神社もあった。
ここから展望台を目指すと、途中で自然歩道の指導標を見つけた。自然歩道はこの公園の上の方をぐるりと巻いて続いていたのだ。私はどこかで道を間違えたようである。
展望台からは、初瀬街道の街並みがきれいに見下ろせて、遥か向こうには金剛山、葛城山、二上山まで見えた。
展望台から少しだけ戻って、公園と反対側に下る。深い林の中の道である。この道をしばらく行くと、舗装道路に出て、集落の中の道を行くことになる。
青龍寺があった。この寺は弘法大師が室生寺を建立したときにしばらく滞在した所なのだそうだ。
山門の前にはシャクナゲの花が真っ盛りに咲いていて、すばらしくきれいだった。春は本当にいい。本堂の後ろの石段上に神社が見えた。竜穴神社である。室生周辺には龍にまつわる伝説・史跡が多いのだ。
しばらく行くと、大きな橋が見えてきた。玉立橋で、国道が通っている。
階段を登ってこの国道に出る。地図にない道が、新しく出来ていた。なにかしらこの新しくできた道を行った方が近いような気がするのだが、地図の通りに行くことにした。
行く手には大きな山が聳えている。額井岳である。時間があったら登りたいと思っていたのだが…。
この額井岳の裾を巻いて通る道を行く。集落をいくつか抜けて行くこのコースはひどくのどかな風景で、道端には黄色いたんぽぽの花が咲いていたりで、心が洗われるようである。
十八神社に着く。石段を登ると、鮮やかに彩色された社があった。
ここから15分ほど歩くと、山部赤人の墓がある。
案内に従って少しだけ林の中に入ると、大きな五輪の塔が立っていた。古いものである。ただ、この五輪の塔が本当に山部赤人のものかというと、それは疑わしいようだ。
ここから見上げる額井岳はひどく立派であった。是非、この山を登るためにもう一度やってきたいと思う。このすばらしい額井岳の山麓に墓が設けられているなんて、赤人も幸せである。
万葉歌碑も立っていた。
  あしひきの 山谷越えて 野づかさに
   今は鳴くらむ 鶯の声

この赤人の墓のあたりからの下界の景色がまたすばらしい。正面には伊那佐山が聳えている。まわりはのどかな田園風景で、いかにも大和路を歩いているという感じなのだ。



 室生口大野駅へ
田んぼを見ながら行く


戒長寺、鐘楼が門になっている


近鉄線をくぐる


もうダム湖が始まっている


赤人橋が見えてきた


大野寺

15分ほど行くと、集落の中に入って行って、そこに戒長寺がある。舗装道路が曲がりくねって寺に続いているのだが、古びた石段の参道があったので、この道を行くことにした。すさまじく急な登りであった。石段が尽きたところは、驚いたことに鐘楼であった。ふつう山門があるものなのだが。
この寺からは、室生ダムに向かってひたすら下って行くことになる。カーブの多い車道を行くと、交通量の多い広い道に出た。こんな車の多い道を歩くのははたまらないな…と思ったら、自然歩道はこれを横切って、もう一つ下の道に出るのだ。この道は集落の中を縫って行く旧道のようだ。
どんどん下って行くと国道165号線が見えてくる。その手前に神社があった。葛神社である。なにかしらゆかりのありそうな佇まいなのだが、社殿は比較的あたらしい。
この神社には裏から入ったのだが、表参道の石段を下って国道に出た。
国道を突っ切って細い道に入る。これが室生ダム湖畔に続く道である。すぐに近鉄線の下をくぐり、さらに行くと右手に川が見えてきた。でも、流れが淀んでいる。もうダム湖の一端なのだ。
このダムの湖畔に沿って歩いて行くのだが、新緑がすばらしくきれいである。春の、本当に軟らかな感じの緑というのは、なんとも表現のしようのない安らぎを感じさせる。この美しい淡い緑を写真で捉えようと思うのだが、どうもうまく写せない。デジカメでは無理のようで、やっぱり本格的な一眼レフで、絞りとかシャッタースピードを調整し、三脚を立てて撮るしかないようだ。でも、春の緑はすばらしい。
ダム湖に沿ってのんびりと歩いて行く。道は岸辺に沿って曲がりくねっている。最後は深い谷に沿った道で大きなV字になっていて、ものすごく遠回りさせられてしまった。
ダムに着く。八重桜が満開ですばらしくきれいであった。ここで少し休憩して、コーヒーを飲んだ。ここまで来たら、室生口はもうすぐである。
坂道を下って行く。室生に向かう道路との交差点の手前は工事中であった。これを過ぎると、すぐに大野寺がある。このお寺にたいした興味はないのだが、川を挟んだ向こう側に大きな摩崖仏がある。これが見たかったのだ。
岩に線描されているのだが、これは弥勒如来なのだそうだ。如来形というのは、みんなお釈迦様と同じかっこうなもので、説明されないと弥勒とはわからない。
弥勒というのは仏教が廃れた末法の世、567000万年の未来に現れるという仏である。今は兜卒天(とそってん)浄土にあって、瞑想しているという。その姿を映したのが弥勒菩薩像で、有名なのは法隆寺中宮寺のものと、京都太秦の広隆寺のものだ。私は、何といっても広隆寺の弥勒が好きなのだが。

近鉄の室生口大野駅に着いたのは17時を過ぎていた。そして家に着いたら19時半。
自然歩道のコースは家からどんどん遠くなる。

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