東海自然歩道 岐阜の道.


日坂→久瀬ダム→津汲集落→小津渓谷→下辻峠→横蔵寺→いこいの森

小津渓谷の遊歩道を歩いて辻峠に向かう。すごい雪道になって、道がわからなくなったりした。でも辻峠を越えたら雪はなくなった。ようやく着いた横蔵寺はすばらしい古寺であった。
横蔵寺境内

 日坂から小津渓谷へ
泊まったバス停


小雨が降る


津汲の十字路


ここで食料買出しをした


小津川に沿って行く


小津渓谷


BACK 鍋倉山越え


2006年36

コンテナのような日坂バス停に泊まったのだが、夜半から雨が降り出した。水の滴る音がして、雨漏りしているのかと思ったら、これはこのバス停の上の木から雫が落ちる音であった。
5時半頃、かすかに明るくなってきた。今日は早く起きることにする。バスに乗る人が来る前にテントをたたんでしまわなければいけない。…と思っていたのだが、うつらうつらしていて、気がついたら7時であった。
あわててテントをたたんだが、狭い中でポールがつっかえて手間取った。テントをたたみ終えて荷物をバス停の中のベンチに並べていたら、戸が開けられた。もう、バスを待つ人がきているのだ。テントだけはたたんでおいたのでよかった。
外を見ると小雨が降っていて、傘をさした数人のお年寄りがバスを待っていた。
大急ぎで荷物をパッキングした。結局、出発は8時である。
両側に山が迫る谷あいの道を緩やかに下ってゆく。小雨は降り続いていて、傘をさして歩いてゆく。
車道をぶらぶら歩いて1時間ほど行くと、広い道にぶつかった。このT字路には指導標がなかった。どうもおかしいので地図で確認すると、自然歩道はこの少し手前で、右の細い道に入るのだった。
いまさら引き返してもしょうがないので、この広い道を行くことにした。

トンネルをくぐると左にダムがあった。久瀬ダムである。ここで大きく蛇行する揖斐川を橋で渡るのだが、そこから右手下をみると、谷の底を曲がりくねった道が通っている。これが自然歩道のようである。でも、私の歩いている道とはこの少し先で合流するはずなのだ。
国道を歩いて行くと、東津汲の集落に入った。信号の十字路があって、そこに自然歩道の指導標が立っていた。ここを左折して北東に向かうのがルートである。
十字路にお店があったので入ってみたが、お菓子が少しあるだけで、私が欲しい食料品はなかった。お店の人に訊いたら橋を渡った向こうに食料を置いている店があるのだそうだ。十字路にはバス停があったので、そこにザックを置いて買出しに出かけた。

橋を渡ると、そこは西津汲の集落である。東海自然歩道の指導標もあって、想像したとおり、本当はこっちの道を来なければいけなかったのだ。
食料の買出しもできて十字路に戻る。公衆トイレもあるので、ここで歯を磨いたり、顔を洗ったりしてさっぱりした。
さあ、出発だ。

自然歩道は揖斐川に流れ込む小津川に沿って北東に登ってゆくのだ。
津汲を出発したときは雨が上がっていたのだが、また降り出した。傘をさして車道をトボトボという感じで歩いてゆく。
右に小津川を見ながら行くとトンネルがあった。でもその手前、右に遊歩道が作られている。自然歩道はトンネルを抜けるのではなく、この遊歩道を行くのだ。
遊歩道は小津渓谷を探勝する道である。深い谷で、はるか下を岩をかんで雪解けの水が流れている。
美しい渓谷に沿って歩いてゆけるのはすばらしいではないかと、喜びながら歩いて行ったのだが、道は雪に覆われるようになった。ついには土砂崩れで完全に道が塞がれていたりする。たいへんな道になった。

花の咲くころや紅葉の時期だったら、すばらしい渓谷を探勝できる道なのだが。
ともかく、悪戦苦闘しながら遊歩道を歩いて、ようやく車道に合流した。ほっとした。



 下辻峠へ
小津の集落から橋を渡る


また雪道になった



橋にも厚い雪


下辻峠への登り


ようやく下辻峠に着いた

道は小津川に沿って大きく蛇行して続いている。車道に雪はないのだが、山の斜面にはたくさんの雪が残っていた。
小津の集落に入ると、すぐに右折して小津川を渡る。ここからは下辻谷を東南に向かうのだ。雨はシトシトと降り続いていて、どこかにテントを張って今日はのんびりしてしまいたくなる。
大きくカーブして、かなり急な勾配の道を行くと、道は完全に雪に覆われてしまった。また雪道だ、昨日の鍋倉山で雪道にはうんざりしている。イヤな予感である。
雪の道を歩いて行くと、左に東屋があった。もうここにテントを張ってしまおうかと思ったが、この東屋は完全に雪に囲まれていて、とてもテントを張れる状態ではなかった。
ここを過ぎるとすぐに大きな砂防ダムがあった。

自然歩道はこのダムに向かって登って、それから左折して北東に向かう。
樹林の中に入ると、下には小さなダム湖が見えた。
いよいよ下辻越えの道に入ったのである。
小さな谷に沿って道は続く。雪の上に足跡が続いている。たぶん二人だと思うが、まだ新しい足跡である。人が通った道だと思うと、なにかしら心強い。
樹林の中なので展望はきかない。道はジグザグを繰りかえして峠に向かって登ってゆくのだ。
この雪道は一歩ごとに足がとられて歩きにくい。つけられた足跡も、時々大きく潜ったりしている。時間がどんどん過ぎてゆく。

沢が二つに分かれるところに出ると、ここで道がわからなくなった。右か左か。ザックを分岐において偵察をしたがどうにもわからない。途方にくれてしまう。足跡もあちこちについていて、完全に迷ったみたいである。
気持ちを落ち着けるために休憩することにした。津汲のお店で買ったパンをかじって、コーヒーをつくって飲んだ。おなかに何か入ると、不思議と気分は落ち着いてくる。
さて気を取り直して、もう一度、二万五千分ノ一の地図を検討すると、道は二つの沢の間の尾根についていることがわかった。沢沿いの道だろうと思い込んでいたので間違えたのだ。
この尾根の道をジググザに登ってゆく。雪で隠されているものの、道の感じはよくわかるのだ。
この登りはきつくて、かなり長く感じた。

ようやく「辻峠」に着く。そこには十字路になっていて、稜線に沿った林道を横切るのだが、その下り口にはひっそりと石仏がたっていた。



 横蔵寺
峠の向うは雪が少なかった


養魚場に下る


養魚場があった


横蔵寺仁王門


いこいの森の東屋


辻峠から下ってゆくと、不思議なことにこちら側は雪がほとんどない。そして、落ち葉がクッションになっている歩きやすい道である。快調に下ることができた。
傾斜が緩やかになって、養魚場の前に出た。私の持ってきた30年前のガイドブックにもこの養魚場が書かれているので、30年間も営業してるのはりっぱだと思った。ガイドにはこの養魚場では放し飼いの犬がうるさいと書いてあるのだが、さすがに30年前のことなので、今は犬の気配はまったくなかった。
谷あいにつくられた田んぼにそって下って行くと、上神原の集落に着く。今日はここでテントを張るつもりである。この集落には「トレイルセンター」という施設がある。お店を探しながら歩いて行くと、大きな駐車場があって、そこに建っているのがトレイルセンターであった。ところが、今日は休館日で閉まっている。ここにテントを張れないかと思っていたのだが、どうもそんな雰囲気ではない。
小雨も降っているので、この玄関に置かれたベンチで少し休憩した。15時である。
自販機でジュースを買って、それを飲みながら本を読んで時間をつぶした。
さて、この集落には横蔵寺という古刹がある。延暦20年(801年)に桓武天皇の勅願で伝教大師が開いた寺なのだ。織田信長によって一度焼き払われたりしているのだが、寛永年間に再建されている。この寺は美濃の正倉院といあわれるほど寺宝が多く、そして坐禅入定した僧のミイラもあるのだ。
横蔵寺へは、まず鮮やかな赤の橋を渡る。境内に入って行くと塗り壁の塀が趣きがあって、そして立派な仁王門がある。これをくぐって境内に入ると三重塔が眼に入る。私は塔が好きなのだ。本堂も何かしら趣きがある。
いい寺だと思う。
ミイラはどうも観る気がしないので、拝観はやめた。
このお寺から山に向かって坂道を行くと、「いこいの森」がある。
ここに休憩所があるならテントを張ろうと思ったのだが、予想通り、きれいな東屋があった。今夜はここに泊まることにした。
テントを張り終えてからもう一度、集落に降りていった。酒を買おう思ったのだが、通りがかりの人に訊いたら、この集落に酒屋どころか普通の商店もないのだそうだ。
あきらめて、テントに引き返した。



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